Nepal

一度きりの二回目の旅行

私は気に入った土地には何度も再訪するのが好きだ。中でも二回目の訪問のときが一番好きなのだが、二回目の訪問ってのは一度しかない。なに言ってるんだ、そんなの初回も三回目も四回目も一度しかないじゃないか。そりゃそうなんだけど、私にとって二回目にしかないものがある。
私は再訪した時に前に撮った写真を配り歩く。初めての再訪では私のことを覚えてたり忘れてたりする。子供なんかはまるで覚えてはいない。まあ、そうだろうとは思う。旅行者の多くはもう戻ってくることはない一時的なものではある。相手も再び訪れてこようとはまず思ってはいないだろう。
写真を持って行く先は前に出会った場所になるわけだが、それは家だったり、学校だったり、家が近くにあると思われる道端だったりする。訪ねた先に親や先生などの大人がいるときは説明するより持ってきた写真を見せるのが一番てっとり早いので基本はそうだ。
私の密かな楽しみは家の前や道端に子供らだけでいるのを発見したときだ。そんなとき私は知らない人のふりをする。しばらく子供らを観察しつつ、この子はあの写真の子だとか、この子はあの子だろうか?と頭の中で子供らの目の前の姿と以前の姿を照らし合わせていく。そしてほどよく仲良くなった頃合いで写真を差し出す。そのときの驚きようったらありゃしない。今、初めて会ったと思っていた相手が自分の写真を持っていて錯乱しているのと、写真を貰った嬉しさやら恥ずかしさやらが混ざったりで、そのなんとも言えない表情には思わず笑ってしまう。
この瞬間を写真に撮りたいのだが、一人二役はできないので未だに撮れないままだし、今度も撮ることはできないだろう。そして次の訪問時にはさすが覚えられているのでもう見ることはできない。
一度きりの二回目の訪問。だけど同じ国でも同じ土地でも出会いの数だけ何度でも楽しめるのが良いところ。