Nepal

ベルの結婚式

 2018     Jun 07, 2019

古くからネパールのカトマンズ盆地に住むネワール族の女性は人生のうちに3回結婚する。といっても離婚と再婚を繰り返すわけではなく、1回目はマルメロの一種ベルの実と、次は太陽との結婚式を行い、3回目が本当の結婚となる。
最初の結婚の儀礼はイーと呼ばれ、4〜10歳くらいの女の子が神ビシュヌと結婚する。そのビシュヌに見立てられるのがベルの実で、ベルの実は表面が非常に硬く、何年たっても内部の果汁は腐らないことから不死の象徴とされる。不死の神と結婚することで、将来もし夫に先立たれても、ビシュヌと結婚しているため未亡人とは見なされないという。
未亡人となると不浄とされてしまう文化において、娘の将来を守るための儀式なのである。
次の結婚の儀礼はバーラ・タエグ、太陽との結婚で9歳くらいになると占いで日を決め、初潮を迎える前に行われる。12日間の式典で、最初の11日間は光の閉ざされた部屋で禁欲的な生活をする。この間は男性と接触することは禁じられており、たとえ父親や兄弟であってもゆるされない。これは12日目に太陽と結婚する前の少女の浄化を象徴するためだ。
太陽との結婚もベルの実と同様に、永遠の太陽という夫がいるということになるのだ。

太陽との結婚式はテレビでしか見たことがないが、ベルとの結婚式は運良く見ることができた。
結婚式の当日、少女達は赤色の鮮やかな衣装を着て、きらびやかな装身具で飾り、おでこには吉祥の意味を象徴する赤い文様の化粧をほどこし、足も赤に染める。
娘の成長と幸せの願いが込められた人生儀礼の伝統が、今もなお変わることなく受け継がれていることがなによりも素晴らしい。