Uzbekistan

フードファイター・メフモン

ウズベキスタンには客人をもてなすメフモンと呼ばれる文化がある。 メフモンとはウズベク語で客人の意味で、定期的に親しい人を家に招き、もてなすのだ。ウズベキスタンには古来より客人をもてなす伝統が根付いており、「客人は自分の父親以上に丁寧にもてなせ」ということわざまである。
そんなメフモンに一介の旅人である私でもよく誘われる。私のような旅人の場合、誘われるのは事前ではなく、ほとんどがその場で誘われることになる。ちょっと話した人が「どうぞ家に」と誘ってくる。この誘いに乗るには正直勇気がいるだろう。私も断ることも多い。誰もが初対面の人の家に入るときはかなり人選してから決めるだろうし、いちいち家に入っていたら散歩もろくにできやしない。ただ、このような家に招待されるということはただの観光ではできない希少な体験であり、大変嬉しいことだ。
私の場合、もうひとつパターンある。前回に撮った写真を持ってお家を訪問する、強制メフモンだ。このときは写真を持って行くくらいだから、私も気に入っている人なので家に入るのは平気だ。というか、できれば家に入れていただきたい。強制であるだけでなく、突然でもあるのだが、いつも快く歓迎してくれる。中にはその場で歓迎してくれるだけでなく、夜もまた来てとか、明日も来てとかってこともある。
メフモンとして招かれると、その家庭の手料理を振舞ってくれる。それは作りたてというのもあるのだろうが、レストランで食べるより美味しい場合が多い。料理上手な家なんて最高だ。あまりに美味しい料理が出てくるので、私はその家のことを「サムサの家」とか「プロフの家」などと料理名で呼んでいる。言葉が通じないので名前を知らないというのもあるが、なんと失礼なことだろう。でもその「サムサの家」のサムサも「プロフの家」のプロフも他のどこで食べるのよりも美味しいのだ。
ちなみにサムサとは肉や玉ねぎを入れてタンドール窯で焼いたパイ、プロフは肉、玉ねぎ、人参と米を大釜で炒めた後に炊きあげた料理で、どちらもウズベキスタンの代表的な料理だ。
驚くのは美味しさだけではない。唐突に来たはずなのにまるで予約していたレストランかのように次から次へと料理が出てくる。途中でもういいと言わないと延々と出てくる気がする。もうお腹がはちきれんばかりだ。
でも歓迎のおもてなしで出してくれているので頑張って食べるようにしている。メフモンはお腹がいっぱいと思ってきたときからが勝負である。気分はフードファイターだ。