Uzbekistan

パフタあたふた

ウズベキスタンに国花はないがウズベキスタンの花といえばパフタ、伝統的な食器の柄にも使われていて毎日のように見かける。パフタとはウズベク語で綿のこと。ウズベキスタンは世界第二位の綿花輸出国である。綿花栽培はウズベキスタンの主要産業であり、近年の鉱産資源の開発が進むまでは綿花のモノカルチャー経済であった。
パフタ摘みは国民的行事だ。すべて手作業で収穫されるウズベキスタンの綿花は高い品質を誇る。収穫期には学生、教師、医療従事者、公務員は綿花の収穫に駆り出される。毎年児童を強制動員することで国際的には大きな批判を浴びている国策事業でもある。批判にとどまらず圧力もあり、数年前には欧米によるウズベキスタンの綿花の不買運動もあった。
この批判と圧力に対し興味がわき調べてみた。まずウズベキスタンの綿花栽培を調査したというヒューマン・ライツ・ウォッチという団体、アメリカに本部のある国際人権団体のNGOだ。このNGOがアメリカのニュース専門放送局であるCNNの取材に対し、児童労働だの強制労働だの言っている。ウズベキスタンでは子供の頃から綿花栽培は国の宝であり、世界に誇るべき産業だと教え込まれるという、だがそれは洗脳になるらしい。そして不買運動の中心となっていたレスポンシブル・ソーシング・ネットワークという団体、これもアメリカのNGOだ。分かりやすい。
親米派ではない国で反政府組織のNPOやNGOを作って革命を起こし傀儡政権を起こす、これは旧共産圏やアラブ圏で繰り返されてきたアメリカの手法だ。ウズベキスタンのお隣の国キルギスでもチューリップ革命が起こされ、その後ウズベキスタンでも革命を起こそうとしたがカリモフ大統領によって阻止された過去もある。また経済制裁もお得意なところ。第二次世界大戦の日本しかり、不買と不売によって戦争に踏み切らされた国は少なくない。
ウズベキスタン政府の言い分はこうだ。ウズベキスタンの綿には優れた品質があり、収穫作業についての様々な報告は、その品質をねたむ国外の競争相手が、ウズベキスタンの取り引き環境を悪化させたり、その評判を落とすために行っている可能性がある。
どちらが正しいかは分からない。だが歴史は真実だ、アメリカが人権だ、独裁だなどと言って転覆させた国は平和にはならない。そして外国人がよその国の内政や文化に人権がどうこうと言って口を出すべきではないだろう。
ウズベキスタンはなにも好んで綿花栽培に依存する国になったわけではない。19世紀からこの地域を支配したのはロシア帝国。その後、共産主義を掲げるソ連は、この地域を支配体制に組み入れた。ソ連は単なる連邦国ではなくロシアとその他14の民族共和国からなる、支配と搾取のはっきりとした主従関係のある国である。ソ連時代に支配する14の民族共和国にそれぞれ指定する産業に特化するよう強制した。それがウズベキスタンでは綿花栽培だったのである。
国土も綿花栽培にはまるで向いていない。綿花は水を大量に必要とするが、国土の大部分が乾燥した砂漠地帯である。おかげで水不足も深刻な問題のひとつとなっている。
外国人の私にはパフタ摘みは関係のないことだが、日本人にはパフタで困ることがある。ウズベキスタンでは料理にオリーブオイルやひまわり油も使うが、多くはパフタ油が使われている。このパフタ油が曲者だ。パフタ油は日本でも綿実油として売られていて、まろやかな風味があり一流レストランや料亭で使われているが、実は体に悪いらしい。さらに日本人は消化酵素を体内に持たないので、パフタ油がたっぷり使われた食事のあとにはトイレがお友達となる。
トイレが遠いときがやっかいだ。ヒヴァの町でよく行く可愛らしい姉妹がいるお家。ただの美人姉妹かと思っていたが、これまた美少女の三女もいることが判明し、ますますお気に入りのこの家ではいつもたくさんの料理を出してくれる。嬉しいことだがその分お腹にくる。その家からホテルまでは片道30分ほどだ。途中にレストランもカフェなどトイレが借りれそうなところはなにもない。なので食後しばらくすると、一度ホテルに戻って一時間後にまた来ますと謎の行動に出ることになる。
トイレくらい借りればいいじゃないかと思うだろうが、地方都市や町の中心部から離れるとトイレ事情がよろしくない。水洗トイレがあっても断水の時間は使えない。以前トイレを借りたときは断水中で連れて行かれたのは庭にある厳しいトイレだった。水洗トイレならば借りたいところだが、そちらのトイレには行きたくない。だが居間にいる私には今が断水の時間なのかを分かるすべはない。そんな訳で一時間のトイレ旅へと出発するのだ。