India

ノーノー合戦

トゥルトゥクは2010年に外国人の入域が許可されるようになった地域。そんなトゥルトゥクではしばしば女の子に写真を断られる。男の子は自分から写真を撮ってくれとせがんでくるが、女の子は違う。特にある程度の年齢になった女性は写真を嫌がる。それを真似てか幼い女の子も断ってくる。
トゥルトゥクの住民はシーア派ムスリムである。確かにムスリムは写真撮影を嫌う傾向にあることが多いと言われるが、宗教だけが理由ではないように思う。村の入口に注意書きの看板があり、そこにはこう書かれている。「写真やビデオを撮る前に許可を取って」と。おそらく不用心にカメラを向ける観光客がたくさんいて、そのために村人がカメラに抵抗を示すようになったのではないだろうか。
ただ許可を求めても写真を撮れるというものでもない。大人の女性は大体「ノー」と言うし、女の子も半分くらいは「ノー」だ。だけどもそんなに神経質な感じではない。断られても何度かねばっていれば撮らせてくれることも多いし、いざ写真を撮るときには楽しそうで写真が嫌という感じには見えない。仲良くなれば撮らせてくれる。ようはトゥルトゥクでは、ひたすら仲良くなるしかないってことだ。
私はいつもは断れたら、しつこくしないが相手が可愛い場合に限っては、ねばる。まあ、これはしょうがないだろう。

肌が白く、瞳は黒いが髪の色は明るく茶色い、実にトゥルトゥクっぽい女の子はいつも「ノー」だった。その子の写真が撮りたくて会うたびに写真を撮っていいか聞いていたが、答えはいつも「ノー」。別に嫌われているわけではなく、他の子供らと遊んでると寄ってくるが写真は「ノー」だ。
子供らによく折り紙を折ってあげていたのだが、当然その子も欲しがった。そこでもう一度聞いてみるものの、答えはやっぱり「ノー」。でも折り紙は折ってくれと言う。別に写真を撮らせてくれないからといって、折り紙をあげないといういじわるをするつもりはないが、あまりにもノーノー言われたので「ノー」と真似てみる。そしてまた聞いてみたが向こうも「ノー」だ。ノーノー合戦である。やがて「写真撮らせてくれたら折り紙折ってあげるよ」と交渉したらあっさりOKが出た。買収成功である。そのあとは何枚撮っても大丈夫になるが、翌日になるとまた「ノー」になる。そしてまたノーノーを繰り返す。
そんな一筋縄ではいかないトゥルトゥクの写真撮影だが、でもまあ、初めて来たときと比べるとずいぶんとましになったように思う。初めてのときはトゥルトゥクに外国人が入れるようになってまだ一年と少しだったので、外国人に対しての警戒心がかなり強かった。「ノー」と言われる比率もずっと高かったし、もっと近寄りがたかった。今はずいぶんフレンドリーになって居心地もいい。あの頃を知っているので、今くらいの「ノー」はへっちゃらだ。