Myanmar

病的スマートフォン

今ミャンマーでは若い子も、おじさんも、おばさんも、レストランやホテルの従業員からタクシーの運転手、市場で肉や野菜を売ってる人、果てはお坊さんまで誰もがスマートフォンに夢中だ。ものの数年前まで携帯を持っている人なんて一割も満たない程度だったが、今は携帯電話普及率が九割を超えたらしい。
軍事政権時代は通信事業者もMPTの一社独占でSIMカードが数万円もしたので、ほんの一部の富裕層と政府関係者、あとは外国人しか携帯を持っていなかったのだ。確か2011年頃から急激に安くなったと聞いたことがあるが、その頃でも500ドルした。今はなんと150円ほどで買えるらしい。
それで経営者などの富裕層でない庶民でもみんな持っているというわけだが、それにしたって違和感がある。ミャンマー人の平均賃金は月に100ドル程度だ。スマホ屋さんの前を通ると安いので8000円、よさげなのは2万円以上で売っている。中国製の安いのもあるらしく、それなら半額程度のようだ。ただ日本で20万円稼いでいる人が10万円の物を買うのと、ミャンマーで1万円稼いだ人が5000円の物を買うのでは、ちょっと意味が違うと思う。もっと他にお金を使うべきところがあるように思えるし、スマホの優先順位がおかしくねえ?ってつっこみたくなる。

スマホの普及によってミャンマー人の生活もずいぶん変わったようだ。新しい世界が広がり、便利になったところもたくさんあるのだろうが、悲しく感じるところもある。
ミャンマーにはビールが飲めるバーというよりレストランのような店がどこにでもあって、昔から地元の人の憩いの場だった。それ自体は今も変わらずあり、仕事を終えた人が一杯やりに来る。ミャンマー人は騒がしく飲むわけではないが、仲間であれこれわいわいしながら飲んでいたもんだが、今は違う。
ビール屋に友達と数人で来ても、全員がスマホをずっといじっていて、友達と会話することなく飲んだり食べたりしている。思い出したように誰かが話しても、スマホに夢中で会話に身が入っていない。一体何にそんなに夢中になっているのかと気になり何度かちらっと画面をのぞいてみたが、みんなFacebookをしていた。目の前に会話する相手がいるのにだ。もう病的な使い方だ。日本でも食事中もずっといじってたり、歩きながらスマホをしていたりと大概ひどいと思うが、さすがに友達と飲みに行ってスマホばっかりいじってるやつはそうそういないだろう。
そんな具合にみんな気がつけばいつもスマホをポチポチしてる。日本と違って就業時間でも暇を見つけてはスマホをいじっているので、よけいに目につく。日本でも往々にして思うことがあるが、こんなもの海に投げ捨ててしまった方が幸せかもね。