India

幻のK2

インドの最北端、すぐ近くはパキスタンとの停戦ラインというトゥルトゥク、晴れの日には村のはずれからK2が見える。K2とはパキスタンにある世界で2番目に高い山のことで、誰でも知っている世界一のエベレストに比べると知名度は皆無といってもいいくらいだろう。少し前に「2位じゃダメなんでしょうか」という言葉が物議を醸したが、2位なんてそんなもんである。
登山にまるで興味のない私だが、K2にはレアさがあり少し憧れる。世界第2位の高峰であるにも関わらず、人里から100km以上も離れた奥地にあるため、19世紀末までほとんど人々に存在を知られることがなかったそうだ。今も厳しい気候条件、急傾斜が多いことなどからエベレストよりも登ることが難しいと言われ、登頂者もエベレストが5000人以上いるのに対してK2は300人ほどしかいない。遭難者の数も多く、4人に1人は亡くなくなるという死亡率の高さだ。
そんな山には一生登ることはないだろうが、遠くから見るのさえもなかなか叶わないのがK2。パキスタンでもトレッキングをしないでK2が見える場所はないという。
トゥルトゥクからはなんの危険も苦労もなく見ることができるが、K2はインド寄りにあるわけではないので見えるのは山頂のほんの一部分、それも晴れた日のみに限る。トゥルトゥクは標高3000mほどだが周囲を高い山に囲まれており、これぞ山の天気というくらい天候が不安定。山に向かって風が吹くと斜面にそって空気が上空に駆け上がって冷やされて雲ができるからだ。K2の周囲も常に強風が吹き荒れているらしく、K2あたりはすぐに雲に覆われてしまう。
それに加えて滞在期間の問題がありチャンス自体が少ない。外国人がトゥルトゥクのあるヌブラエリアに入るにはILPという許可証が必要になる。許可証は比較的簡単に取得できるが、問題はその有効期間で1年で7日間が最大。7日間の間にヌブラから出ないといけないので、トゥルトゥクに泊まれるのは最大6泊ということになる。
短い期間の中でなかなか顔を出さないK2を見れるかは運次第だが、雲ひとつない快晴だなんて、よほど私の日頃の行ないが良いに違いない。