新型コロナの影響で2020年に海外旅行に行けなくってから、海外旅行が好きなことを知っている人たちから、もっとも多く尋ねられたのは、自由に旅行に行けるようになったらどこの国へ行くかという質問。現実的なところは、季節的なことや相手国のコロナの規制の状況によるので、実際にどこの国へ行くかは、解放される時期によって変わってくるのだが、そういうことを一切取っ払って考えると、一番行きたい国はパキスタンだった。
長すぎる規制と先が見えない状況で、海外旅行に行けないことがストレスとなってきて、外国のことを考えたり、世界の街の日常や人々が映るテレビ番組を観ることを避けるようになり、もう海外旅行のことは日常から消えていった。そんななか、2022年9月にワクチン接種という条件つきではあるものの、規制が緩和され、ようやく海外へ行けるようになる。前ぶれもなく、急に解放されたので、大慌てで準備をして、発表からわずか3週間後にさっそく行ってきた。行き先は、一番行きたかったパキスタン。9月はちょうど季節もいいときで、パキスタンに行くことが叶った。
急遽決めた海外旅行であったため、そこまで長い休みは取れなかったので、行くのはパキスタンのカラーシャのみにした。アフガニスタン東部からパキスタンの最北端のチトラールにまたがるヒンドゥークーシュ山脈の山あいに住む、カラフルな刺繍の民族衣装を着て暮らしているカラーシャ族の谷だ。コロナ前にも、2年連続で訪れていたお気に入りの場所である。
カラーシャでのメインは、もちろん民族衣装を着たカラーシャ族の女の子であるのだが、カラーシャでもっとも会いたかったのは、そのカラーシャ族ではなく、カラーシャの谷に住んでいるムスリムの子であった。あどけなさと色気をあわせ持つ、べらぼうに可愛い女の子だ。許される限り、ずっと撫でていたいほど、愛してやまない。パキスタンに行くのであれば、いの一番に会いたいと、この3年間思っていた子だ。
しかし、3年ぶりのパキスタン。3年経てば、子供はかなり変わる。3年という期間は、小学校では全校生徒の半分が入れ替わるほどの長い期間だ。前回はあどけなく、幼かった印象が強い彼女も、今は最上級生になっているはず。今も可愛いかは、不明だ。
3年ぶりに訪れた彼女の通う小学校では、本人を目の前にしても、気づかない子も多かったが、彼女ことは遠目でもすぐにわかった。3年前に撮った写真のイメージのままに成長していた。想像通りというか、希望通りの成長だ。
一目見た瞬間に、枯れていた心のなにかに火がついたのがわかった。