自分の撮った写真を見ていると、なんだか斜めの写真が多いなあと思う。私が常に傾いてる人間なわけではなく、あえて斜めにしているのだが、はなから斜めに撮ろうと狙っていたものはほとんどなく、どちらかというと、しかたがなくとっさの苦肉の策のような感じである。
風景写真は基本的には、水平にそして垂直に撮る。構図や写り込みなんかも気をつかうが、なによりも、どれだけ水平に撮れるかに一番意識を集中している。逆に人物写真に関しては、水平や垂直ってことはまったく気にしていない。私が撮るのはセッティングしたものではなく、その場で撮るスナップがほとんどなので、なるようになれというところだ。
人物写真で斜めに撮る理由はいくつかのパターンがあるが、主にふたつある。ひとつは余計なものを入れたくなくって、入らないように構図を探して探して、斜めになるケース。写真を撮るときは背景に気を使ったりもするが、スナップの場合はどうしようもないことも多いので、そんなに気にしていない。気にするのは手前に写り込んでくるもの。子供なんかの場合、ほかの子の写真にもなんとか写ろうとしてくるので、それらを斜めにして切ることが多い。
もうひとつは動きがないとき。絵にならないといったほうがわかりよいだろうか、そのまま撮ってもうまくいきそうにないときに、動感を出すために斜めにする。私の中の写真の動感ってのは、実際に動いているかどうかではなく、動いているかいないかどうこうよりストーリーが始まりそうかってことである。雑誌のモデルなんかのポーズとかはそういうので、そのまま撮っても動感があり、絵にもなる。ポーズを決めていなくても、体の向きや表情、周りのシュチュエーションなんかで動感がある場合もある。それが何もないとき。たとえば、直立不動なんかは非常に悩ましい。証明写真のような写真はいらないので、私自身が動いたりして、たどり着く結果が斜めだったりするのだ。
斜めにするのが、いいのか、悪いのかはわからない。「あり」か「なし」かは見る人次第だろう。見た人が写真の斜め具合に不安定さを感じるかもしれない。どれくらいの斜めならいいのか、どれくらいならやりすぎなのか、人によって違うだろう。私の中にも明確なものはなく、斜めに撮るときはこれくらい傾けるという決まったものはない。けれども、撮った写真を見ていると大体似たような角度で傾けているので、自分の知らない自分の中で、好みの斜めのラインってのがあんだろうね。