Pakistan

恋は盲目

 2018     Apr 05, 2019

パキスタンではいつになく外国人旅行者によく話しかけられた。外国人旅行者が極端に少ないからだろう。
持ちかけてくる話題は「パキスタンはどう?」と「なぜパキスタンへ?」。
英語力がないので「なぜ」と聞かれるのは苦手だ。それはおいといて、会話したのはすべて欧米人だったが、彼らは決まってパキスタンは美しく、パキスタン人はとても親切で、子供も可愛いと大絶賛だった。
話すときの興奮ぶりに、いいが旅ができてよかったね、と思うものの、冷淡な顔になってしまう。
美しいってのは、おそらく山とか渓谷とかの自然のことだと思う。たしかに、パキスタンには大自然が残り、息をのむ多彩な景観がある。
でもさ、話している足元を見てごらん。舗装されていなくて、靴が土ぼこりまみれなのは仕方がないとして、道端や河原はごみだらけなんだけど。そのせいもあってか、食事中にハエがたかってこなかったことは、一度たりともなかった。子供の着ている服は何日も洗濯してない汚さで、日本じゃホームレスしか着ていないレベル。子供の手も毒手拳の使い手かってほどに真っ黒で、それで顔をさわるもんだから顔も汚い。
ビューティフルとクリーンは違うのだろうけど、これをふまえて美しいというのは、いささか釈然としない。
パキスタンは人がいいと評判の国で、出会った人もおおむねそうだった。
だけども、絶賛するほどではなく、周囲のインドやネパールとさほど変わらないように思う。親切な人は多いけど、もちろんそればかりではない。
外国人を見かけるたびに、誰彼かまわずビザや出稼ぎの話を持ちかけてくる人には、たびたびうんざりさせられるし、道を尋ねただけで、あとでホテルの部屋へ遊びに行っていいかと言い出す気持ち悪いのもいる。
パキスタンをべた褒めしている人たちが、普段どんなところへ旅行に行ってるのか知らないけど、いいところだけを見て、目の前の現実は見て見ぬふりをしているようにしか思えなかった。

さっきまでパキスタンが美しいだの、子供が可愛いだの熱弁していた女性が写真を撮った子供が、デジカメのモニターを見ようと手を伸ばしてきたときに「さわらないで」と、きつい口調でピシャリと言いはなっていたのには笑った。
英語で言ったため、その子供には伝わらず、何度か繰り返していた。
いろいろとツッコミ待ちなのか?英語が達者だったら、ツッコんであげれたんだけどもな。