Nepal

白塗り妖怪

 2019     Apr 08, 2020

外国で子供の写真を撮りはじめて間もないころに、鼻水がたれている少女を、そのまま撮るか、鼻水をふいてから撮るか、どちらが写真として正しいのか迷ったことがある。そのときは鼻水をふかずに撮って、写真を撮ったあとにふいてあげた。そのほうがリアリティがあると思ったからだ。
べつにドキュメンタリーな写真が撮りたいわけではないのに、なぜリアリティを求めたのか。単純になにも考えていなかっただけだ。鼻水をたれたままがリアリティなのか。顔が汚れているのがリアリティなのか。たしかに、そのとき鼻水がたれていたのは事実。だけども、それをそのまま撮る意味ってなんなのか。鼻水や顔をふくのはリアリティじゃないのか。
そもそも、鼻水がたれていたり、汚れている顔の写真を貰ってうしれいかっていう話だ。そんなもの、誰だって写真に残したくないはずだ。幼いころ、写真を撮る前なんかは、親に強めに顔をふかれたじゃないか。気づいていたら、綺麗にしてやるのが大人ってもんだろう。

ネパールでは、鼻水も気になるが、ほかにも気になるものがあった。それは、カサカサの肌。子供の顔が、ほったらかしのかかと並みにカッサカサなのだ。
これは、ネパール人があまりお風呂に入らないことが原因だろう。地域によっては、深刻な水不足があるネパール。毎日たっぷりなお湯で体を洗ったりはできない。それに、蛇口をひねったらお湯が出てくるシャワーがある家なんて、いまだに少数派である。
だから、ネパールの子供はカサカサで、頭もかゆそうにしている。本当は泊まっているホテルのシャワーで丸ごと洗ってやりたいが、そんなことはできない。しかたがないので、ニベアクリームを塗りたっくてみることにしたが、子供はちょっと嫌そうだった。