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瞳の住人

 2016     Dec 13, 2016

私は今の自分の人物写真の撮り方というものが、とても気に入っている。それは構図とか色合いとか写真的な要素とは別の、距離感だったり、アプローチの方法だったり、視線といったような撮影スタイルのことである。今のスタイルは自身の性格にも合っていると思う。まあ、性格に合わせて、だんだんと確立されてきたものなので、合っていて当然なのではあるが。
だが、それは写真の撮り方として完璧ではなかったりもする。少々、悩みの種があるのだ。私はもうずっと長らくの間、同じカメラと同じレンズを使っている。一応レンズは3本持っているのだけれど、2本はほとんど使用していない。ずっと使ってるのは、広角の単焦点レンズ。
単焦点とは、焦点距離がひとつだけという意味。つまりはズームができないレンズ。大きく写したければ自分か近づき、小さく写したければ自分が下がらないといけない。非常に不便なやつだ。単焦点をつかうのには理由はあるのだが、撮りたい被写体が決まってくると、自分の距離感ってものができてきて、焦点距離がひとつだけでもさほど困らない。
広角レンズとは、広い範囲を撮影できるレンズのこと。単純に言うと肉眼で見ているのより小さく写る。広角レンズは風景には向いているが、人物の写真を中心に撮る人で、これをチョイスするのは少ないだろう。正直、人物撮影にはあまり向かないんだと思う。アップで撮ろうと思ったら相手にカメラがぶつかる勢いで撮らなきゃなんない。
でもだ、このレンズで撮る距離感が好きなのだ。距離感ってのは、物理的な間合いであったり、相手との心理的な距離でもあったりする。物理的な距離が変わると、心理的な距離も変わる。ふたつは違うもので直接関係なさそうだが、関係している。それはさておき、悩みの種というのがこの物理的な距離によるもので、相手との距離が近いがために、相手の瞳に自分が映り込んでしまうのだ。
世の中にはごくまれに、キラッキラの瞳をもつ人がいる。吸い込まれそうなほど透き通っていて、ウルウルとした瞳。なんでそんなにキラキラしてるのって、思わず見とれてしまうほどの極上のキラキラ。あれはちょっと作り出せるものではないと思う。キラキラ度合いが増せば増すほど、映り込んでしまう。そんな瞳の中に住むのもいいもんだが、やっぱりあのキラキラは邪魔することなく、そのままに写したい。