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Nepal2022

#288

色の迷走

Jul 28, 2023

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Photos

モノクロ写真に興味がない。特に私がメインで撮る被写体である可愛い子供なんかは、モノクロで撮った写真より、カラー写真のほうが断然好きだ。
モノクロの人物写真を見るたび決まって、その服は何色なんだろうとか、本当の色が気になってしまう。見る人がそれぞれの色を思い浮かべられるところがいいのかも知れないが、それを想像したところで、正解を得られるわけではない。明るい髪や瞳の色、肌の色、唇やほほの赤み、服のカラーコーディネート、そういういったものが全部わからない。
仮にプラスチックのピンクのピアスをしてる女の子がいたとする。カラー写真だと、それがおもちゃっぽいピアスだとわかるけど、モノクロならプラスチックということも、ピンクだということもわからないので、それがおもちゃっぽいピアスだとはならないだろう。それって、すごく意味が違ってくるじゃない。子供らしいおもちゃっぽいピアスをしてるとこがいいのに、ただピアスしてますねっとなってしまうのはもったいなすぎる。
あと、写真を撮るうえでもっとも苦労するのが、色の再現だ。現実に近い色なのか、自分のイメージのなかの色かは、人によって違うけれども、理想どおりの色に仕上げるというのが、なによりも手ごわいことなのである。モノクロは色でごまかしがきかないなんていうけど、色のことを考えないでいいほうが楽。メインの被写体を邪魔するようなものだって、勝手に目立たなくなる。色がある方が簡単にはいかない。カラー写真でうまく表現できないから、モノクロに逃げてしまってるような気がするので、撮ろうと思わないのである。

逃げのモノクロ写真ではなく、現実世界から色を取り除いた不自然さを楽しむ表現のひとつとして、楽しむのはいい。
被写体によっては、元の色なんてどうだっていいこともある。たとえば、ネパールにチョウタラという、道ばたにある木陰の休憩どころがある。菩提樹なんかの大きな木を石垣で囲って、腰をかけれるようにしたもので、首都のカトマンズのような都会にも、山道にも、いたるところにある。そのチョウタラに植えられている菩提樹は、樹齢数百年くらい経っていそうな立派なものが多く、見上げるのが好きなのだが、特に雨や霧につつまれたときは、幻想的で異世界感がすごい。そのときの写真は、色なんてどうでもいい。チョウタラや菩提樹がどういうものかや、どんな雰囲気だかを伝えたい写真であれば、現実の色味からかけ離れたものでない写真のほうがいいだろう。だけども、これは異世界感さえ伝わればいいので、より異世界感が味わえる表現を探るのである。

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