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Uzbekistan2018

#101

小さなブラックホール

Mar 08, 2019

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Photos

人物写真の撮影技術に、キャッチライトというものがある。人物写真でポイントとなる瞳に、輝きを持たせるために映りこませる光のことで、生き生きとした表情が演出できる。光はストロボやレフ板を使ったり、キャッチライト用の光を当てたりすることもある。

写真を見た人から、どうやってキャッチライトを入れているのかと質問されることがたまにある。結論から言うと、私はキャッチライトを入れたことがない。もちろん、写真を撮るときには光の方向や強さも考慮するので、瞳に光が入ることとまったくの無関係でないだろうが、私の写真のモデルの瞳に綺麗に光が入っているのは、すべて偶然の産物なのである。
キャッチライトを意識して写真を撮ったこともない。私が撮る写真はモデルの位置やポーズ、機材などをセッティングして撮るポートレートではなくて、下準備をせずに撮影するスナップショット。正直、キャッチライトを入れるとか以前にもっと大事なことがあり、そんな余裕がないのだ。

先の理由により一般的には瞳に光が入った写真がよいとされているが、私は必ずしもそうとも思わない。
瞳に光が入るかは、光の具合によるものだが、人によって光が入りやすかったり、入りにくかったりってのはあるように思う。ごくまれに高確率ですべてを深く吸い込んでしまいそうな漆黒の瞳に写る子ってのがいるのだが、私はそれも好きなのだ。
黒目のカラーコンタクトとか、あんな不気味なものとは違う。まるで小さなブラックホールのよう。その瞳で見つめられると、瞳の中に吸いこまれるような錯覚をおぼえ、黒目の魔力で逃れられなくなってしまう。

夜門のすゝめ

Mar 07, 2019 | Uzbekistan 2018

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