Loading...

Nepal2018

#124

ベルの結婚式

Jun 07, 2019

Share post:

Photos

古くからネパールのカトマンズ盆地に住むネワール族の女性は、人生のうちに3回結婚する。といっても、離婚と再婚を繰り返すわけではなく、1回目はマルメロの一種ベルの実と、次は太陽との結婚式を行い、3回目が本当の結婚となる。
最初の結婚の儀礼は、イー。4〜10歳くらいの女の子が、神ビシュヌと結婚する。そのビシュヌに見立てられるのが、ベルの実。ベルの実は表面が非常に硬く、何年たっても内部の果汁は腐らないことから、不死の象徴とされる。不死の神と結婚することで、将来もし夫に先立たれても、ビシュヌと結婚しているため、未亡人とは見なされないという。
未亡人となると、不浄とされてしまう文化において、娘の将来を守るための儀式なのである。
次の結婚の儀礼は、バーラ・タエグ。太陽との結婚で、9歳くらいになると占いで日を決め、初潮を迎える前に行われる。12日間の式典で、最初の11日間は、光の閉ざされた部屋で、禁欲的な生活をする。この間は男性と接触することは禁じられており、たとえ父親や兄弟であってもゆるされない。これは12日目に、太陽と結婚する前の少女の浄化を象徴するためだ。
太陽との結婚も、ベルの実と同様に、永遠の太陽という夫がいるということになるのだ。

太陽との結婚式は、テレビでしか見たことがないが、ベルとの結婚式は運良く見ることができた。
結婚式の当日、少女たちは赤色の鮮やかな衣装を着て、きらびやかな装身具で飾り、おでこには吉祥の意味を象徴する赤い文様の化粧をほどこし、足も赤に染める。
娘の成長と幸せの願いが込められた人生儀礼の伝統が、今もなお変わることなく受け継がれていることが、なによりも素晴らしい。

スパルタンネパール

Jun 04, 2019 | Nepal 2018

prev

九九三十六

Jun 10, 2019 | Nepal 2018

next