今までウズベキスタンで、バイクを1台も見かけたことがない。禁止されているわけではなさそうだが、夏は40℃を超え、冬は-15℃にもなる気候のせいだろうか。ガソリンが少ないせいだろうか。とにかくバイクがない。
バイクのない世界というのは、実に快適なのである。その快適さを言葉で説明するのは、少々むずかしい。実際に感じてみないと、わからないものがあるように思う。しかし、バイクのない世界というはあまりなく、一部のエリアや、物理的に入ってこれない場所ってのはあるが、ウズベキスタンのように国という単位で、バイクがないということは、かなり珍しい。
逆に今の東南アジアや南アジアなどの国は、バイクがあふれているところが多く、私が行ったことのある国だと、インド、ネパール、ベトナム、タイあたりが多かっただろうか。そこにはバイクのない世界の快適さとは、まるでかけ離れた不快さがあった。こちらのことを言った方が、バイクのない世界の快適さがよくわかるかもしれない。
バイクの多い国の不快さは、この上ないものだ。パッと思いつくだけでも、うるさい。危なっかしい。臭い。空気が悪い。交通ルールなどあってないような国だと、バイクの縦横無尽な走り方にヒヤっとさせられることもしばしばある。なかでも特に空気の悪さは深刻もんで、排気ガスで死ねるって思えるほど、大気汚染がひどい。
無論、これらは旅行者より住んでいる人にとってのほうが重大な問題で、子供の横でガンガンたばこを吸ってるのと同じようなもんだと考えれば、なくなりそうなもんなんだが、不思議と増える一方なのである。
やっぱり一度、バイクのない世界へ行ってみないと気付かないのかもしれないねえ。