ウズベキスタンの首都タシケントには、世界の中でもかなり凝った装飾だと評判の地下鉄がある。
タシケントの地下鉄は、中央アジアで最初の地下鉄。開業は当時ソビエト連邦の一部だった1977年。ウズベキスタンで有名な建築家や芸術家によって設計された駅構内の床や壁には大理石が使用され、天井にはシャンデリアや美しい照明と豪華絢爛。そして、駅それぞれに彫刻やモザイクなどがほどこされ、意匠を凝らした芸術作品のような仕上がりになっている。
だがしかし、地下鉄駅は核シェルターの役割という側面があったため、すべて軍事施設という扱いになっており、撮影は政府の特別な許可がない限り禁止であった。それが、2018年6月に解禁されたという。
各駅には、あるテーマがあり、その建築装飾は各駅の駅名を表現していたりもする。
もっともインパクトがあるのは、コスモナフトラル駅だろう。宇宙飛行士駅だ。宇宙探査をテーマにした青い空間で、壁には旧ソ連が誇る人類初の宇宙飛行士ガガーリンや、女性初の宇宙飛行士テレシコワなど旧ソ連の宇宙飛行士や、天文学者の青い陶磁器のメダリオンが飾られている。天井のガラスは、宙に輝く天の川をイメージしているのだそう。
もっとも美しいと称されるのが、アリシェール・ナヴォイ駅。アーチ型の支柱に天井ドーム、イスラム文様の天井画とモスクを思わせる。アリシェール・ナヴォイは、ティムール王朝時代に活躍した詩人で、画家で、政治家。特にウズベク人の言葉で詩を綴った最初の人物とされ、ウズベク文学の父といわれている。
現代アートっぽい駅では、ベルニー駅か、ポドムゾル駅がいいだろう。ともに駅とは思えぬデザインで、まるで現代アートミュージアムのようである。