もっとも好きな子供の年齢は九歳前後。学年でいうと、小学三年生あたりだ。
九歳前後は、心理的な転換期。心の変化や成長が起きるときである。カメラを構えていてもよくわかる。無邪気さと自分以外の人の存在を意識するはざまで、揺れ動いている。
もちろん、無邪気さや恥じらいには個人差があり、年齢や学年で決まるものではない。しかし、学校という場所においては、団体の影響もあってか学年で分別することができる。
二年生は元気いっぱい、無邪気さいっぱいだ。いきなり飛びついてきたりする子もいたりもする。カメラの前であまり表情をつくらないので、自然な姿を撮ることができるのだが、はしゃぎすぎて収拾がつかない場合も多い。まあ、言い方を変えると、一方的で自己中心的である。
四年生になると、恥ずかしがる子が増える。中学年なると友達とワイワイガヤガヤと集団で遊ぶようになる。そのせいか、本質的にはまだ無邪気だと思うが、団体になると周りの目が気になるようだ。写真も自然な無邪気な姿をとらえるのがむずかしくなってくる。
その間が三年生というわけだ。四年生に比べ、他者の目を気にするよりも好奇心が勝つ。好奇心が旺盛で、何にでもさわってみたいみたいな時期である。だが、恥ずかしさや、他者の目も感じはじめる。このボーダーラインがおもしろい。無邪気さと恥じらいとのバランスがいいのだ。
写真撮っていい?と聞くと、はじめは恥ずかしがって隠れたりする子も、ねえねえと粘ってるとそのうち撮らせてくれる。この攻防が楽しい。はじめの恥ずかしがってるのを突破したら、あとは一気だ。一度心を開くと恥ずかしがっていたのはどこへやら、休憩時間に私を自分の教室に連れて行こうと手をひっぱってきたりして可愛らしい。