人物写真では、思いきり顔に近づいた写真や、バストアップなんかの寄った写真より、少し引いた画角の写真のほうが好き。
どれくらい引いた写真かと問われると、答えるのがややむずかしい。全身が入っているか否かはさして問題ではなく、メインの人物以外にも何かを切り取っていて、それによってその場の世界観が伝わりやすい写真、人物プラスアルファの写真、というとおわかりいただけるだろうか。メインの人物以外は、風景であろうとなんだっていい。あくまで主役は人物でありたいので、人物か風景か、どっちが主役かわからないような写真は好きじゃない。ゆえにあまりにメインの人物が小さくなりすぎるのではなく、顔立ちや表情がはっきりとわかるくらいの距離が好ましい。
好きなのは、引きの写真なんだが、実際に撮っているのは、寄りの写真のほうが断然多い気がする。全部が同じような焦点距離だと、変わりばえのしない写真ばかりになってしまうので、寄りの写真も、引きの写真も、両方を撮りはする。引きの写真のほうが好きなくせに、寄りの写真のほうが多いのは、なんなのだろうか。
原因ははっきりしている。可愛い子だとついつい近づいてしまうことに違いない。可愛い子が相手の場合、どこまで近づいて撮れるかという、謎の戦いのゴングがいつの間にか鳴っている。そして、近づいてしまうと、離れれない強力な粘着力を持っているので、気がついたときにはすでに手遅れなのである。