10年ほど前に森ガールという、よくわからんファッションジャンルがあった。森にいそうな女の子というコンセプトだったはずだが、森なんかにちっともいそうにないファッション。なぜ、あれが森ガールなのか、いまだにわからんが、カラーシャ族の女の子は、その森ガールを地で行く。
カラーシャ族の集落は、アフガニスタン国境の5,000m級の山脈から発した川が刻んだ谷にある。川の水量は豊富で、谷は湿度が比較的高く、木の生えているところの少ないパキスタンにあって、松や杉、樫の木などの樹木が山腹をおおっている。村の周囲には、ブドウやリンゴ、梨、アンズ、クルミなどの果樹も豊富。
そんな恵まれた自然環境のもとで暮らしている彼女たちは、遊び場も通学路も自然のなか。木登りも得意だし、ひいこら息を切らし登る坂も、油断すると転がり落ちそうな斜面も、サンダル姿ですいすい登り、楽々と駆け下りる。
彼女たちのファッションが、森にいそうかといわれると、一見そうは見えない気がする。そもそも、森にいそうな女の子のファッションがどんなものかピンとこないが、彼女たちは実際にいるのである。彼女たちには自然がよく似合う。調和していて、不自然さがない。そんなカラーシャの女の子は、森にいそうな女の子を通り越して、ときどき妖精に見える。