たしかに見たはずなんだ。パキスタンの小学生がつけていたブックカバーがダンボールだったんだ。ダンボールのブックカバー。日本でもお手製のブックカバーを作ったりはするけど、ダンボールでつくるなんて聞いたことはない。
ダンボールだとごっつくなりそうで、その使い勝手も気になるところだが、なによりどうやって本にくっついてるのか気になる。それを見せてもらったはずなんだが、てんで思い出せないのである。
斬新な手法でとかではなかった気がする。ほんのり期待感をいだいていたところがあったのかもしれなく、ひどく原始的な方法に少しがっかりしたような覚えがある。
なにかヒントがあるかもしれないと、ダンボールのブックカバーが写っている写真を見返してみるも、なにひとつピンとこない。普通のブックカバーにはある本を差し込むところの折り返しがないのが確認できる。思い出すどころか、ますます謎が深まるばかりじゃないか。
ひょっとして、魔法でくっついているのか。教科書に書かれている文字はいかにも魔法っぽいし。もしかしたら、ブックカバーのことが思い出せないのは、魔法で思い出せないようにされているのかもしれない。