カラーシャ族が住んでいるいるのは、高く険しい山々がそびえる山岳地帯だ。近くの町からは、山肌を削ってつられた道路を車で2時間ほどかかる。近年、道路開発が進められてはいるが、いまだ道路状態やアクセスは良くはない。
たまにどんな場所かと聞かれるが、日本で同じような場所が思いつかないので、うまく答えれたことがない。
山に囲まれており、川に沿って5~6つの集落を形成している。木はたくさん生えており、畑もあるので緑が多い。道路は舗装されておらず、車が通れる道は1本だけ。食品や日用品を売る商店や食堂、文房具屋、お土産物屋なんかはあり、村によっては衣料品の店もある。なんでもそろうようなスーパーやコンビニなんかはない。市場もない。肉は鶏が売っているくらいで、ほかは売っていない。野菜も売っていなく、そのあたりは自給自足だ。美容院もなければ、本屋もない。病院もない。薬屋があるくらいだ。電気は外国やNGOの援助などで水力発電がつくられており、不安定ながらもある。かつて日本で三種の神器と言われた家電、テレビ、洗濯機、冷蔵庫は、テレビを持っている家はあるが、洗濯機、冷蔵庫はまずない。日本でも過疎集落や小さな離島とかに行けば、こういった場所はあるかもしれない。
カラーシャの谷では、顔や手にいぼができている子をしばしば見かける。普段見えやすいところが顔や手なだけで、きっとほかの箇所にもあるだろう。
いぼは、触っているとほかの部位に広がったり、ほかの人にうつしたりしてしまうため、早めの治療が重要だと思える。だが、ほったらかしにされているため、大きくなったり、広がったりしてしまっている。
物が少ないから。インフラが整ってないから。近代化されていなから。経済的に裕福ではないから。別にそういったことが幸せの基準にはならないと思う。劣っているとも思わないし、あったほうがいいとも言い切れない。ただ、こと医療に関してだけは、物資も設備も整っていたほうがいいし、近代化されていたほうがいい。カラーシャ族が病院を頼らないわけはない。ただ、遠いし、お金もかかるので、身近ではないのだ。
いぼのある子を見るたびに、もどかしくなる。なんならお金を払って、病院につれて行きたいくらいだ。なんとかしてあげたいが、他人がでしゃばるところではない。
政府やNGOなんかも、学校を建てたり、文房具や教材をあげたりはよくしているが、そのあたりには関心がないようだ。3年ぶりに訪れたカラーシャでは、多くの子供がユニセフのリュックを持っていたが、リュックなんかより、半年に一度でも医者を派遣するなどしてくれたらいいのにね。せっかく、そういうところに介入できる権限も力あるのに、実にもったいない。