お気に入りの子の写真ってのは、何枚撮っても飽きない。
ときおり見せる最高の表情でなくたっていい。服装が違う。髪型が違う。学校での姿。笑っているところ。しおらしくしているところ。カメラ目線。目線を外しているとき。
自分の好きなものをじっくり時間をかけて、変化を見るのも大人ならではの楽しみかた。しかし、そんな気持ちとはうらはらに、子供側は毎日何枚も撮られると飽きてしまい、撮られることを嫌がるようになる。
おそらく、興味のない子はちっとも撮らず、一部にだけに集中しているのも要因のひとつだろう。自分だけがえこひいきを受ける環境ってのは、子供ながらに恥ずかしさやばつの悪さを感じるもんである。しかしながら、興味のない子の写真なんて撮りたくないのだ。
どうすれば、お気に入りの子の写真をたくさん撮れるだろうか。
そうだ!その子の写真を世界でいちばん素敵に撮れるようになればいい。ただ、それだけのこと。
ほかにはない写真を撮ってもらえる。たくさん写真を撮っても、どれも同じような写真ではない。ずっと眺めていても飽きない写真。見ているだけで笑顔になれる写真。友達に自慢したくなる写真。大人になっても、お気に入りの写真。
どれもこれも簡単なものではないが、そう苦でもない。興味のない子の写真は、速攻で気力がなくなるけれど、お気に入りの子の写真であれば、千回でも挑めるはず。