緑色はイスラム教の聖なる色である。これはイスラム教の預言者ムハンマドのターバンの色が緑だったのが由来とされる。そのためサウジアラビアやパキスタンなど、多くのイスラム教国の国旗に使用されている。ムスリムの信仰と生活の実践の根源となる教えである、アッラーの啓示をまとめた聖典クルアーン(コーラン)にも、天国で着る衣服の色として登場し、特別視されている。
勝手に美少女の里と呼んでいる村のムスリムの子供たちも、毎日昼下がりに緑色のシャルワールカミーズを着ている。
ここらの小学校は朝早くにはじまり、昼に終わる。けれども、ムスリムの子は勉強はそれで終わりではない。学校の勉強以外にも学ぶことがある。イスラム教の勉強だ。この村では昼下がりから夕方まで、日本の寺子屋のように先生の家に通ってイスラム教を学んでいた。
クルアーンやハディース(預言者ムハンマドの言行を記録したもの)、もしかしたらアラビア語も学んでいるかもしれない。どんなことを学んでいるかは実際のところ知らないのだ。見てみたいがムスリムではないため、残念ながら立ち入ることができないのである。
この時間帯に村を歩くと、家の中からクルアーンを読む声が聞こえてくる。クルアーンを声に出して読んでいる音色は神聖で美しい響きがある。韻を踏んだ文体になっていて、抑揚と旋律をつけて読まれるクルアーンは、とても音楽的に聞こえる。とくに女の子の透き通るような声は、心に沁みこみ癒される。