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Pakistan2024

#329

ミルクの儀

Oct 24, 2024

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カラーシャの谷でもっとも人出が多くなり、にぎわうのがお祭りのときだ。お祭りの期間には、パキスタン中から観光客や報道関係者がやってくる。外国人観光客もどっと押し寄せる。旅行会社がお祭りに合わせてツアーを組んでいるのだ。そして、カラーシャの谷を出て暮らしているカラーシャ族も帰省してくる。
カラーシャのお祭りは、今まで参加したことはなかった。興味がなかったわけではないが、人でごった返してて嫌なほうが上回るため、避けてきたのである。しかし今回、お祭りに惹かれてではなく、また別の理由からお祭りのときに訪れることなった。

お祭りの内容は、たいてい太鼓にあわせて歌と踊りが繰り返されるだけだが、いくつかの儀式もある。
見てみたい儀式があった。それは春祭りジョシの初日に行われるプーシェンという花集め。子供達が野山に入り、ビシャという鮮やかな黄色の花を、女の子が歌い踊りながら集めにでかける行事である。このプーシェンが見たかったのだが、いつ始まるのかよくわからず、ひまを持て余して遊びに出かけていたら、いつの間にか終わってしまっていた。
プーシェンを見逃したので、翌日に行われるチーリックピピというミルク集めに付いていくことに。チーリックピピは、子供と女姓達が、村の家畜小屋でヤギのミルクをもらっては、また次の家畜小屋を巡り、あちこちで踊りを繰り広げるという行事。そのことは前もって知っていた。
しかし、これが予想外にハードであった。村の家畜小屋を巡るってのは、集落内を回るだけと思っていたのだが、違ったのだ。村を離れ、民家などないところへ行くではないか。ときには薮をかきわけ、山の急斜面を登ったり、まさに野を越え山を越えって感じで、最後の家畜小屋は、村が豆粒くらいの大きさになるほどに遠く離れていた。おまけに炎天下の暑い日で、のどはカラカラ。
しかしながら、私には心強い味方がいた。よく知っている子供達である。生い茂った草木を当たらないようにしてくれ、斜面やぬかるみなどの足場の悪いところでは、手を差し伸べてくれたりと、終始気づかってくれる。休憩時には、持参したパンや集めたミルクを分け与えてくれる。遠くにやって来るとも、道のりがハードだとも思ってなかったから、水などを持ってきていなかったので、飲み物は特に助かった。
ただ、チーリックピピで配られるヤギのミルク、ヨーグルトみたいに酸っぱくなったやつなんだよね。カラーシャの家でたまに同じのをいただくことがあるんだけど、これ飲むと十中八九お腹壊すんだよな。

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