何年か前に「推し活」という言葉が流行って以来、推しなんたらといった言葉がメディアでも当たり前に使われ、今では一般的な言葉になっている。
この感覚がわからない。今までアイドルや芸能人、アニメのキャラクターなどに対し、熱狂的なファンになったことがないので、自分の中にそれに該当する感情がないのだ。唯一、ほんの少しだけ似たような感情がある。それは旅行先にいるお気に入りの子。
それであれば、今の1番は誰かとかは即答できる。国ごとにそれぞれ挙げることも、地域や村、学校、民族など、さまざまな単位で挙げることもできる。だが、もちろんどれもが同等に好きというわけではない。やはり、今1番熱いとかっていうのがあって、熱量に違いはある。
今もっとも熱いお気に入りのひとりが、カラーシャのお気に入りの子だ。この子は可愛い。べらぼうに可愛いく、肌もすべすべなので、ひたすら撫でまわしている。
不思議なのが、彼女を過去に写真に撮った記憶がないことだ。彗星のごとく現れたのだ。年齢的にもっと前から出会っているはずなのだが、出会った記憶もない。こんなに可愛い子を見逃すはずがないのになあっと思いながら、授業を眺めていると、先生が呼んだ彼女の名前が引っかかった。
ああ、あの子か。道理で可愛いはずだ。
2年ほど前に、彼女の通う学校から離れた村に、えらく可愛い子がいた。その村で滞在したときの宿のオーナーの孫娘だ。とても可愛いかったので、写真を撮りたいとねばったのだが、シャイな子で撮らせてくれなかった。そのときに写真は撮らなかったが、おばあちゃんが名前を教えてくれていて、覚えていた。
今は写真を撮らせてくれないほどシャイではないが、性格は控えめでおとなしめ。変わっていくものと、変わらないものがある。