電気・ガス・水道は、生活に欠かせないインフラ設備であるライフラインであるが、カラーシャでは日本のように当たり前には使えない。一般家庭に特に普及していないのがガス。
カラーシャでは薪が普通だ。どの家も土間に薪ストーブがあって、それで暖をとるだけでなく、上にヤカンを置いてお湯を沸かしたり、カラーシャ族の主食であるタシーリという、クレープ生地のような見た目のパンを焼いたりと、幅広く活用している。 まさに日本の昔ながらの囲炉裏と同じである。
夜が明けると、各家庭の煙突から煙が立ち上がりだす。そのなんでもない風景を眺めるのがわりと好きなのだが、そんなのんきなことを言っていると、手痛い思いをすることになる。
カラーシャの家は、山の斜面を利用して建てられることが多いので、家々がひな壇状になっている。 そう、下の家の煙がやってくるのだ。日本でも、マンションで隣や階下からのタバコの煙で悩まされるといった近隣トラブルがあるが、煙って本当に防ぐのがむずかしいのだ。タバコだと臭いが染み付くのもさることながら、受動喫煙が問題であるが、薪の煙も喉がやられる。煙が目視的に届いていない位置にいても、やられたりするので非常にやっかいだ。
煙突付近では煙とともに吐き出されたすすが舞っていて、さらに劣悪な環境。だが子供は気にせず、その周りで遊んでいたりするので心配になる。日本の囲炉裏や火鉢もそうだが、風情があって素敵だけれど、デメリットもあるので、そこにはしっかりと向き合わないといけない。