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Pakistan2024

#352

毒手見習い

May 23, 2025

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はじめてパキスタンのカラーシャへ訪れたときから気になっていたのが、子供の手が毒手拳の使い手かってほどに真っ黒なこと。
顔も日本で見たことがないくらい汚れている。着ている服は何日も洗濯してなさそうな汚さ。川でたまに沐浴するくらいだからか、首周りの垢がひどい。そういった子も数多くいるが、そうではない清潔に見える子も、手だけは黒かったりした。また、カラーシャ族よりずっと清潔な子が多い、イスラム教徒の子の手も同じであった。その場で汚れたというよりは、染み込んだ黒さで、石鹸で洗っても落ちなさそうな感じ。
黒い汚れの原因は、数年経ってから、ようやく知った。それはクルミ拾いだった。
クルミの収穫は、男性が木に登り、竿で緑の実を叩き落とし、その下で女性や子供が落ちてきた実を拾い集める。そのとき緑の皮がついていたら取り除くのだが、この緑の皮のアクで手が黒くなるのだ。なので、秋のクルミの収穫の時期は、女性と子供の手はみんな真っ黒というわけであった。

ある日、よく知ったイスラム教徒の家族がクルミの収穫に行くというので、ついて行った。クルミの木は自分の敷地内に生えていることもあれば、村の人が行き交う道に生えている場合もある。どんなクルミの木にも所有者がいて、なかには土地の所有者とクルミの木の所有者が別だったりする。この家族のクルミの木は、村の集落から離れ、川を渡った先にある畑が広がる平地にあった。
大きく立派な木で、収穫には数時間掛かった。少しばかり手伝ったので、翌日には指先が黒ずんでいた。なんだか少しだけ嬉しい。同じになれた。

ルッキズムの鬼

Apr 03, 2025 | Pakistan 2024

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