ベトナムのフォーや、タイのパッタイ、インドネシアのミーゴレンなど、アジア各国へ行ったことがなくても、日本でおなじみのアジアの麺料理。それに比べてミャンマーは麺どころか、料理自体何ひとつ日本ではまったく知られていない。ミャンマー料理?何それ美味しいの?ってレベルだが、実はミャンマーは隠れ麺大国と呼ぶのがふさわしい国なのである。
ミャンマーの麺は種類がとにかく豊富で、ひとつひとつ個性がある。民族や地方ごとに異なる麺文化をもつので、各地で食べ比べる旅ってのもまたおもしろい。
ミャンマーの麺料理といえば、モヒンガー。米粉から作ったそうめんのような細麺に、ナマズなどの魚のダシのスープを合わせる。屋台から高級レストランまで、どこでも出会えるミャンマー定番の麺である。だが、これに関しては正直、なぜこれが一番有名なのかさっぱりである。何度か食べたことがあるが、店によっては少し生臭かったりするし、味そのものより、ぶよぶよの麺がどうも好きになれない。ミャンマーの旅行中にミャンマー好きという日本人と話す機会があると、よくモヒンガーが好きか聞いたりするが、好きだという人にはまず出会ったことがない。
もうひとつのミャンマーの代表的な麺は、オウンノ・カオスエ。オウンノはココナッツミルク、カオスエは麺という意味だ。こちらは中華麺と鶏スープにココナッツミルクとひよこ豆ペーストを溶き合わせる。ココナッツミルクを使っているので、いかにも東南アジアといった味だ。
日本人に合うおすすめは、シャン・カオスエだ。シャンとはミャンマーの東部シャン州のことで、外国人相手だとシャンヌードルで通っている。ひと言でシャンヌードルといっても、その味は店によって多種多様だが、基本的には薄味でさっぱりとした鶏スープともちもちした米粉の麺で、肉と辛目のタレを加える。店によっては汁ありと汁なしと選べたりする。汁なしの場合は、別にスープが付いてくるのと、シャンヌードルはからし菜の漬物と一緒に食べるのがお約束で一緒に付いてくるのがうれしい。
私が一番好きなのは、マンダレー名物のミシ。ミーシャイとも呼ばれる。米粉で作った麺で、鶏肉や揚げた豚肉をトッピングして、辛めのピリッとしたタレにからめて食べる。こいつがミャンマーにまた行きたくなるほど美味いんだ。