ウズベキスタンでは、外国人旅行者が訪れる町ってのはだいたい決まっている。首都のタシケントにしか国際空港がないので、ウズベキスタンの旅はタシケントから始まり、サマルカンド、ブハラ、ヒヴァと、4つの町を周遊するのが定番だ。
そのなかでもっとも好きなのがヒヴァだ。ヒヴァはほかの町と比べると田舎町でタシケントから遠いので旅行者も少ない。そんなところとこじんまりとした歩きやすい町のサイズもいい。料理も人も、フィーリングが一番合う。
そんなヒヴァに今回は長めに7泊してみた。7泊ってのは、いくらヒヴァが好きだとは言え、暇を持て余すんじゃないかと気がかりだったが、ちょうどいいくらいか、少し足りないほどだった。もう何度か来ているので、訪ねて行く家も多い。ホテルの近辺の子供らなんかにはよく知られていて、毎日暇っちゃ暇なんだけど、忙しいみたいな毎日だった。
毎日のように会ったのが、ホテルの向かいの家の女の子。朝食後、さて今日はどこへ行こうか、とホテルを出る。向かいの家の子が見える。まだ学校には行ってなく、特に日課などはなさそうだ。ホテルから出てきた私を見つけると、かけ寄ってきて、手を引っ張り、自分の家の前へ連れてゆく。私の座るところ用意し、私を座らせ隣に座る。旅行中は私も、彼女と同様にこれといった日課はないのでそのまま過ごす。腕を組んできたり、肩に寄り添ったり、まるで恋人のようだ。
7泊というと、短期旅行者には長いように思えるが、冷静に考えると、1年の365日のうちのたった7日でしかない。1年の7日ってのは、1年間でもっともよく会う他人、たとえば、社会人なら会社の同僚とかになるだろう。それと1年で会う日数と同じだけ会おうとすると、30年以上かかる計算だ。そのくらい大したことのない数字なのである。
そんなもんしか会えないんだから、会いたいと思う人がいるなら、今、会いに行くべきではないか。会いたいとか口で言っても会えるわけではないのだから、本気でそう思うなら会いに行けばいい。何百年と生きるならいいけれども、そうではないのだし。いや、何年生きたとしても、誰かと過ごしたのがたった7日なら、その人と私は7日だけの人生でしかないのだから。