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India2017

#76

幻のK2

Dec 05, 2017

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インドの最北端、すぐ近くはパキスタンとの停戦ラインというトゥルトゥク。晴れた日には、村のはずれからK2が見える。K2とは、パキスタンにある世界で2番目に高い山のことで、誰でも知っている世界一のエベレストに比べると、知名度は皆無といってもいいくらいだろう。少し前に「2位じゃダメなんでしょうか」という言葉が物議を醸したが、2位なんてそんなもんである。
登山にまるで興味のない私だが、K2にはレアさがあり、少し憧れる。世界第2位の高峰であるにも関わらず、人里から100km以上も離れた奥地にあるため、19世紀末まで、ほとんど人々に存在を知られることがなかったそうだ。今も厳しい気候条件、急傾斜が多いことなどから、エベレストよりも登ることがむずかしいと言われ、登頂者もエベレストが5,000人以上いるのに対して、K2は300人ほどしかいない。遭難者の数も多く、4人に1人は亡くなくなるという死亡率の高さだ。
そんな山には一生登ることはないだろうが、遠くから見るのさえもなかなか叶わないのがK2。パキスタンでもトレッキングをしないで、K2が見える場所はないという。
トゥルトゥクからは、なんの危険も苦労もなく見ることができるが、見えるのは山頂のほんの一部分、それも晴れた日のみに限る。トゥルトゥクは標高3,000mほどで周囲を高い山に囲まれており、これぞ山の天気というくらい天候が不安定。山に向かって風が吹くと、斜面にそって空気が上空に駆け上がって雲ができるからだ。K2の周囲も常に強風が吹き荒れているらしく、K2あたりはすぐに雲に覆われてしまう。
それに加えて、滞在期間の問題があり、チャンス自体が少ない。外国人がトゥルトゥクのあるヌブラエリアに入るには、ILPという許可証が必要になる。許可証は比較的簡単に取得できるが、問題はその有効期間で、1年で7日間が最大。7日の間にヌブラから出ないといけないので、トゥルトゥクには最大6泊しかできない。
短い期間の中でなかなか顔を出さないK2を見られるかは運次第だが、雲ひとつない快晴だなんて、よほど私の日頃の行ないがよいに違いない。

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