「Too shy!」そう口をそろえながら、イギリスから来たらしいグループは立ち去っていった。
その光景を眺めながら、カラーシャのことを調べていたときに、決まったように出てきた一節を思い出した。
「カラーシャの子供はシャイなのか、写真を撮ろうとすると隠れてしまう」
違うからそれ。恥ずかしがってるんじゃない。嫌がってるんだよ。
カラーシャを訪れる旅人のお目当てはやはり、民族衣装姿の女性や少女。彼女たちを写真に収める目的で訪れるといってもいい。
こういうところで目立つのが力メラのマナーの悪さだ。
イギリス人の観光客たちも小学校に入ってくるなり、いきなりカメラを向けたのだった。それにより子供たちは、いっせいに後ろを向いたりして顔を隠した。困った観光客をみた先生が少し子供たちにうながしたが、子供たちはかたくなに後ろを向いたまま。このままねばっていても無理だと悟ったのか、先のセリフだ。
さすがに本人たちもわかっていると思うんだ。嫌がられたことを認めたくないのか、周囲にごまかしているのかわからないが、虚勢を張っているのだろう。
もし、もしだ。相手を見て、恥ずかしがっているのか、はたまた嫌がっているのかがわからないのだとしたら、人間としてやべーやつだと思う。まれに相手が嫌がっていてもお構いなしに写真を撮るやつもいたりする。相手がちっとも心開いていない写真を撮ってうれしいのだろうか。そんな写真どうするんだろうと思ったりするが、嫌そうな顔をしている写真を、平然とネットにあげているのを見かけることも少なくない。
私だったら、そんな表情しか撮れなかったのなら、あとで見ても落ち込むだけだし、恥ずかしくもあるので絶対に欲しくないがね。