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Pakistan2019

#165

9の授業

Feb 09, 2020

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パキスタンで小学校を訪れると、先生から代わりに授業やってくれと依頼されることがある。たいていは英語の教科書を渡してくるが、一度たりともしたがったことがない。
英語の授業ってったって、どうせ教科書の英文を読んだのを子供たちが復唱するだけだろう。現地の言葉が話せないので、説明もできないし、質問されてもわからない。こんな授業は時間の無駄だ。
算数という手もあるが、これまた意味がないことしかできそうにない。黒板に問題を書いて、手のあげた子を指名して答えさせる。小学校でありがちな授業だが、これってほとんど意味ないように思う。手のあげる子ってのは、すでに理解してる子。理解している子に答えさせても意味がなく、必要なのは理解していない子に理解させること。理解していない子が、黒板に書かれた問題を解く様子を見て、体得するとは思えない。もしかしたら全員がすでに理解している可能性だってある。
そこで、やるのは折り紙か、日本語の授業。最近は9の授業ってのをしたりもしている。9という数字は結構おもしろくて不思議な性質をもっている。
まずは黒板にかけ算の9の段の式を縦に書く。次に答えを書いていくのだが、最初に9×2=のところに1、そして9×3=に2、9×4=に3、という具合に1から順に縦に書いていく。
9×2=1
9×3=2
9×4=3
これが十の位となる。9×9=8までいったら、今度は一の位を下の9×9から順に1、2、3と上に書いていくと、あら不思議、九九の9の段ができあがる。
さらに、9の段の答えの18、27、36、この十の位と一の位を足すと、1+8=9、2+7=9、3+6=9、と答えがすべて9になる。これだけじゃなく、9の掛け算は答えのすべての桁の数字を足し合わせ、一桁になるまで足していくと必ず9になるのだ。
98×9=882 → 8+8+2=18 → 1+8=9
763×9=6867 → 6+8+6+7=27 → 2+7=9
こういった不思議でおもしろい算数なら、算数嫌いな子も興味がわくかもしれない。そんな思いからはじめた9の授業だが、一番食い付くのは先生だったりする。ん?見ているんだったら、先生が普通に授業したらいいのに。

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