はじめてミャンマーを訪れた外国人が、ぎょっと驚くことがふたつある。
ひとつは、噛みタバコのクーン。ビンロウの実を石灰やスパイスなどと一緒にコショウ科の葉で包んだものをモゴモゴと噛む。しばらく噛むと口の中が真っ赤になり、飲み込まないでそのまま吐き出すのだが、赤い唾液を吐き出すのをはじめて見たときは、血を吐いたとしか思えなく、かなりの衝撃を受けた。
もうひとつは、ミャンマーの伝統的な化粧のタナカ。柑橘系の木の一種タナカを水とともにチャウッピンという専用の石盤で擦りつぶし、ペースト状になったものを刷毛などで顔に塗る。顔に白いペーストを塗りたくっている姿はインパクト大だ。
タナカは化粧であるが、女性ばかりでなく、子供から大人までと男女問わず使用するので、日本人の想像する化粧とは少し意味合いが違うかもしれない。タナカはおしゃれのひとつでもあるが、日焼け止めや、にきびの防止や美肌効果があるといわれ、天然のコスメとしての役割も大きい。また、塗るとしばらくは肌がひやっとして気持ちいい清涼感もある。
外で農作業する人や子供は顔全体にタナカを塗るが、女性は年頃になると頬のみに塗るようになる。子供も顔全体に塗りつつも、おでこと頬だけを濃く塗るのが可愛いとされ、それがオーソドックスな塗り方である。レアなとこだと、子供や中高生くらいの若い子に、絵を描いて遊び心満載なのがまれにいる。