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Indonesia2010

#232

白にも黒にも

May 28, 2021

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インドネシアのバリ島は、独自の文化や風習が色濃く残る場所だ。その礎となっているのが、全国民の90%近くがイスラム教徒のインドネシアにおいて、バリ島の島民ほとんどが信仰しているバリ・ヒンドゥーと呼ばれる、バリ島独自の宗教だ。バリ・ヒンドゥーは、バリ人の生活、文化、習慣の基礎となっており、バリ人のアイデンティティーといえる。
インドのヒンドゥー教が源であるものの、仏教や土着宗教の信仰が組み合わさっており、インドのヒンドゥーとはまた違った宗教となっている。インドのヒンドゥーとの一番の違いは、バリ・ヒンドゥーは一神教であるということだ。インドのヒンドゥーには、シヴァ神をはじめ多くの神様がいるが、バリ・ヒンドゥーでは、神様はサン・ヒャン・ウィディただひとり。シヴァやヴィシュヌ、ブラフマーなどは、すべてサン・ヒャン・ウィディの化身とされている。この理由は、パンチャシラというインドネシアの建国五原則のなかに、「唯一神への信仰」が定められているためだ。インドネシアは、イスラム教の国ではないが、唯一神宗教に限られている。ヒンドゥー教のような多神教は、認められていない。そこで、バリ・ヒンドゥーでは、サン・ヒャン・ウィディという唯一神をつくり出したのである。

バリ・ヒンドゥーには、独自の世界観がある。すべての物事は善と悪、生と死、聖と邪、浄と不浄、山と海、右と左、上と下、男と女といった形で、かならず相反する事象で成り立っているとされ、それらのバランスが維持され共存することで、世界が成り立つという二元論、ルア・ビネダである。その相対概念を、舞踊によって表現しているのが、バロンダンスだ。
聖獣バロンはバリ・ヒンドゥーの善の象徴で、悪の側面を象徴する魔女ランダと終わりのない戦いを続ける。たとえ倒されても、必ず生まれ変わる。それは、人の心にも善と悪が同時に存在しており、どちらも消えることがないことを物語っている。
バリでは、お寺など神聖な場所には、かならず白と黒のチェックの布がある。バロンダンスの演者の衣装にも用いられる。白が神様を、黒が魔物を表しており、白と黒が混ざるグレーは、人を表しているとされる。人は白にも黒にもなれないのだ。

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