散策を終え、夕食前にシャワーを浴びようと、足早に宿へと向かう途中、いつもと異なる雰囲気に足を止める。大通りから一本入った、いつもは人通りがまばらな通りなのだが、やたらと人が多い。
何事かと思ってあたりを見回す。三差路にある祠のところに大勢集まり、通りにも一定の間隔をあけて、数人ずついる。女性は大人から子供まで、サリーやパンジャビドレスで着飾っている。人々の足元には、火が灯る前のオイルランプの灯籠を発見。お祭りかしら?
道に並べられたオイルランプの灯籠は、ずっと先まで続いている。この先、500mほど行ったところにヒンドゥー教寺院があるので、そこまで続いているのだろう。皆一様に寺院の方角をながめ、何かを待っているようだ。きっと、寺院から聖火を持った人達が練り歩いてきて、順番にオイルランプに火を灯していくに違いない。
先にあるヒンドゥー教の寺院は、以前に立ち寄ったときに象がいたので、もしかしたら象も歩いてくるかもなあと、勝手に期待をふくらませて待ってみる。何のお祭りなのか、まったくわかっていないが。
すっかりあたりが暗くなったころに、聖火はやって来た。バイクに乗って・・・。聖火らしきものを持った僧侶でもない若者が、バイクの二人乗りでやって来た。人々の足元のオイルランプは素通りで、祠まで一直線。思いがけない登場の仕方にあっけにとられている間に、いつの間に火種を手に入れたのか、オイルランプには火が灯されていた。
勝手に期待して、勝手に失望してしまう。