収穫の秋。カラーシャの谷の秋は収穫で忙しい。畑で育てたトウモロコシだけでなく、クルミ、りんご、ぶどう、梨なんかも採れる。なかでも、クルミの収穫は、ちょっとしたイベントだ。
カラーシャの谷のクルミの収穫は、男性が長い竿を持って木に登り、枝についてる実を叩き落とし、その下で女性と子供達が落ちてきた実を拾い集める。その際に、緑の皮がついていたなら取り除く。
クルミの実は、木になっているときは緑色の果物のような実である。この緑色の中に、馴染みのあるクルミの殻が入っている。あの硬い殻をさらに皮で包んでいるのだ。この緑の皮は、地面に落ちた衝撃でたいていは砕け散るのだが、たまに緑の皮の一部がついたままになっているので、それを取り除くのである。
クルミの収穫は、ちょっぴり危険だ。木に登ってクルミを叩き落とすほうはもちろんだが、下で拾い集めるほうも危ない。どこに落ちてくるのかわからないし、ときどき折れた枝も一緒に落ちてくる。天気が良くても、クルミ注意報が発令だ。それなので、下ではクルミが降ってこない場所へ移動しながら、拾い集めなきゃいけない。
最悪、人が落ちてきたら下敷きになる可能性もあるので、すべてクルミを落とし終わってから集めればいいと思うのだが、そうはしない。同時進行がカラーシャの谷のクルミの収穫なのだ。