ウズベキスタンに国花はないが、ウズベキスタンの花といえばパフタ。伝統的な食器の柄にもつかわれていて、毎日のように見かける。パフタとは、ウズベク語で綿のことだ。ウズベキスタンは世界第二位の綿花輸出国である。綿花栽培はウズベキスタンの主要産業であり、近年の鉱産資源の開発が進むまでは、綿花のモノカルチャー経済であった。
パフタ摘みは国民的行事。収穫期には学生、教師、医療従事者、公務員が綿花の収穫に駆り出される。毎年児童を強制動員することで、国際的には大きな批判を浴びている国策事業でもある。批判にとどまらず圧力もあり、数年前には欧米によるウズベキスタンの綿花の不買運動もあったらしい。
この批判と圧力に対し、興味がわいたので調べてみた。まず、ウズベキスタンの綿花栽培を調査したという、ヒューマン・ライツ・ウォッチという団体、アメリカに本部のある国際人権団体のNGO。このNGOがアメリカのニュース専門放送局であるCNNの取材に対し、児童労働だの強制労働だの言っている。ウズベキスタンでは子供のころから綿花栽培は国の宝であり、世界に誇るべき産業だと教え込まれるという。だが、それは洗脳になるらしい。そして、不買運動の中心となっていたのは、レスポンシブル・ソーシング・ネットワークという団体。これもアメリカのNGO。わかりやすい。
外国人の私にはパフタ摘みは関係のないことだが、日本人にはパフタで困ることがある。ウズベキスタンでは料理にオリーブオイルやひまわり油もつかうが、多くはパフタ油がつかわれている。このパフタ油が曲者だ。パフタ油は、まろやかな風味があり、日本でも綿実油として、一流レストランや料亭でつかわれているが、実は体に悪いらしい。さらに日本人は消化酵素を体内に持たないので、パフタ油がたっぷりつかわれた食事のあとにはトイレがお友達となる。
トイレが遠いときがやっかいだ。訪ねて行く家のなかで町から一番遠い家だと、可愛らしい三姉妹がいる家で、片道30分ほど。途中にレストランもカフェなど、トイレが借りれそうなところはなにもない。トイレくらい借りればいいじゃないかと思うだろうが、地方都市や町の中心部から離れるとトイレ事情がよろしくない。水洗トイレではなくなるのだ。水洗トイレがあっても、断水があったりして使えない時間もある。したがって、食後しばらくすると、一度ホテルに戻って、一時間後にまた来ます、と謎の行動に出ることになるのだ。