秋のカラーシャでは、毎日のようにいろんな果物をもらう。子供から大人、学校の先生や、すれ違っただけの人までくれたりする。
ぶどうがもっとも多いだろうか。1日に何度ももらうことも珍しくない。あと多いのは、りんごと梨。どれも日本のように買ったものではなく、木から収穫したものだ。
ぶどうは、ほとんどが山ぶどう。普通のぶどうよりも粒が小さい。食べれないほど酸味が強すぎるのもたまにあるが、基本的には程よい酸っぱさ。ただ、小粒のくせに種が多くて、少々食べづらい。パキスタン人はみんな種ごと食べるので、食べるのがとても早い。おそらく種はバリバリ噛み砕いて食べている。ひとりだけ食べるのが遅いので、真似しようとするのだけど、なぜだか種が食べれない。皮はなんとか食べれるんだけど、種だけは脳が勝手にストップしてくる。
3年前にもお邪魔した少女の家。ぶどうとりんごを3つ4つずつほど出してくれる。そんなに食べないよと思いながらも、ぶどうからいただいていると、食べるのが遅かったのだろう、りんごも食べろとせかしてくる。でも、まだ手に持ったぶどうはいっぱい残ったままだし、もう一方の手の握りこぶしには吐き出した種がたまっている。ぶどうのつづきを食べていたら、りんごを包丁でカットしはじめた。きっと、丸かじりだと食べないやつだと思われたのだろう。違う、そうじゃない。ぶどうが美味しくなくて食が進んでないわけでも、りんごが切られてないと食べれないわけでもない。食べるのが遅いだけだ。
りんごが次々と切られていく。切ってしまったら、食べるしかなくなるじゃない。ぶどうの残りと、切られたりんごをなるたけ急いで食べる。果物って、次から次へと口に運ぶように食べるものじゃなかったはずだが。