カラーシャの谷に住むムスリムの女の子は、おしゃれ好きで、着ている服も可愛らしい。カラーシャの谷は、パキスタンの山岳地帯の谷あいあるので、見渡して目に入るのは、山、緑、川、畑。道は基本的に舗装されていない。そんな場所である。ここには洋服店はない。もちろん、ネット通販もない。けれども、ここの女の子はおしゃれなのだ。
女の子の服装はパキスタン女性の定番、シャルワールカミーズが中心だが、ワンピースも着ている。幼い子ほどワンピースが多く、ワンピースもドレスっぽくなる。ごくまれに洋服も着ている。指輪やネックレス、腕輪なんかのアクセサリーもよくしており、マニキュアやメヘンディも大好きだ。
とても山岳地帯の谷あいの集落にいるとは思えないような、都会と変わらないほどのファッショナブルさなのである。
まわりと比べてみても、おしゃれ度が抜きん出ている女の子がひとりいる。いつも可愛らしく小じゃれた服を着ていて、毎度毎度デザインや色使いの斬新さに感心させられる。その子の小じゃれっぷりをチェックするのは楽しみのひとつなのだ。
残念なのは、髪を隠すヒジャブのせいで、服の全容が見えないことだ。襟元や肩、ヒジャブによっては胸あたりまでも見えない。そのあたりが見えないと、どういった服なのかという核心がわからなかったりする。また、違う服を着ていてもスカーフが一緒だと、同じに見えてしまうのも、実にもったいなく思う。
ヒジャブなしで見たいところなのだが、常に髪をきっちり隠すタイプの子なので、悲しいかな、その望みが叶うことはない。