今までパキスタンには4度訪れたことがあるが、当初の旅程どおりに旅行できたことは1度しかない。いつもなにかしらのハプニングが起こっている。
ハプニングは嫌いだ。英語力に乏しいのもあって、あらかじめ計画していたとおりにいかなくなると、たちまち窮地になるからだ。なので、ハプニングなどちっとも望んでいなく、旅程どおりに旅行したいのだが、パキスタンではそうさせてくれない。
こんなに旅程どおりに旅行できないなんてことは、ほかの国では経験したことがない。ほとんどの旅行は、何事もなく順調に終える。予定どおりにいかなかったことを思い返しても、ネパールのバンダくらいしか出てこない。
ネパールでは、バンダと称するゼネラルストライキが散発的に起こり、道路を封鎖し、すべての店が閉まる。このバンダに2回ほどに遭遇したことがある。だが、ネパールには9度訪れており、9度のうち2回なので、パキスタンの比ではない。ちなみに最近はバンダも減ってきたように思う。
今回のパキスタンでは、帰国する日が迫ったきたころに、パキスタンの前首相のイムラン・カーンが汚職容疑で逮捕されるということが起こった。その逮捕に抗議するデモがパキスタン各地で起こり、暴動に発展していった。治安部隊と衝突して2000人以上が拘束され、死者も出るほどの混乱っぷりだ。ネットの利用の制限がかかり、学校も閉鎖され、道路は一部が封鎖されているという。
このときパキスタンの北西部にあるカラーシャの谷にいたため、首都のイスラマバードまで車で10時間強の移動しないといけなかった。空路はない。これ、帰れないやつか。そんな思いで不安しかなかったが、運良く移動日当日にイムラン・カーン前首相が釈放された。しかしながら、バスは運休するという。デモ参加者が暴力や放火など暴徒化している様子や、高速道路の中央で治安部隊と衝突したりしているところがテレビで中継されていたので、こんな日に移動しようとする人などいないのだ。しかたがないので、車をチャーターし、デモに遭遇しないかドキドキしながら帰ってきた。ほとんど寝てたけど。