カラーシャの集落は、夏の洪水や外敵などを避け、山あいの少し登った斜面につくられている。つくるのは、冬の日照りを考慮し、南向きの斜面。
家屋は斜面に建てられるため、ひな壇状に並ぶ不思議な集落ができあがっている。斜面なので平地が少ないためだろう、屋根はフラットでつくられ、作業場として使用される。屋根であるが、テラスでもあるのだ。
屋根を使用するのは、その家の持ち主でない場合もある。構造的に一段上の家の人が、自分の屋根を使用する場合もある。その場合は、自分が使用するのは、一段下の家の屋根となる。
使用するのが自分の家のものじゃないと、気をつかいそうだ。伝統的な屋根は土をかぶせたものだ。もし、屋根が壊れたりした場合なんかは、どうなるのだろう?自分の屋根が相手に壊された場合も、修繕するのは自分なのだろうか。自分がつかう屋根の持ち主が、壊れたところをなかなか直してくれない場合は、自分のつかう屋根がないかもしれない。それに一番下の家の人は、自分のつかう屋根がないということになる。
旅行者でも、この屋根に乗ることはしばしばある。狭い通路で大きな荷物を持った人とすれ違うときや、牛なんかが通るときは退避させてもらう。子供たちとの遊び場のときもある。あと、高いところからの眺めが良さそうなときとかにお邪魔させてもらう。
村の人と違って、勝手に乗るのは気が引けるので、ちくいち断りを入れる。前日に承諾してくれたところでも、気兼ねして勝手に乗ることができない。