人物写真を撮るうえで、邪魔な色がある。その色の服を着ていたり、小物を身に着けていたり、背景に写り込むものにその色が存在すると、編集のときの面倒くささが倍増するのである。
邪魔な色のひとつは、オレンジ。オレンジは肌色に直結する色だからだ。正確には肌色は赤、オレンジ、黄色の三色で構成されている。そのなかでもオレンジが大きな割合を占めているのである。
人物写真においてもっとも気になるのが、肌だ。肌色をどういった色で出すかによって、その写真の雰囲気が決定づけられる。肌をきれいに見せるには、基本的にオレンジの輝度を上げて、彩度を下げる。これで肌全体の明るさが上がり、くすみを軽減し、肌のツヤ感が強調され、肌色にメリハリがつく。いわゆる美白となる。これが、服などがオレンジだと、服など余計なところまで明るくなってしまうのだ。
もうひとつ邪魔なのが、青。青は写真の全体に影響するからだ。青を調整すると、青色だけでなく、白と黒にも影響するのである。白と黒は、そのものの色だけではない。光と影でもあるのだ。青の輝度や彩度を変えると、光と影のコントラストまでもが変化し、写真のバランスが根底から変わってしまうのだ。