知らない土地へ行くのは、いつだって不安だ。それがツアーではなく、ひとりで見知らぬ国で何もかもを自分やらなくてはならないとなれば、ますます不安は大きくなる。旅行好きの人にとっては、旅行の計画をねってるときは、わくわくして気持ちが高揚するものなんだろうけど、根っからの旅行好きではない私には憂うつでしかない。楽しい海外旅行に行く計画なのに、不安で押しつぶされそうになって、行く前からぐったりしてしまう。出発する日が近づけば近づくほどに、その色は濃くなっていく。なぜそんな不安を味わってまでして、わざわざ旅行へ行かなれけばならないのか、自分でもわからない。
そんな影響から、旅行先はほとんどがリピートだ。同じ国だけでなく、同じ土地へ何度も行ったりする。知った土地への旅行は、不安や恐怖を感じることはないのがいい。何度も行っているようなところだと、日常生活と変わらないほど無防備でいられる。それはとても楽ではあるが、困ったことにそればかり続けていると、どこか物足りなさを感じてくる。それは安全な場所だと知っていて、日常と違う異文化にも見慣れてくると、ぼんやりとして雑念にふけっている時間が多くなるからだ。不要な情報をシャットダウンしていて、記憶にもあまり残らない。それに日常と変わらない気持ちで過ごすから、旅のリフレッシュ効果も小さかったりもする。
旅の醍醐味が、自分の知らない土地へ行くことだとは思わないが、適度に不安と緊張を感じることは、旅には必要なのだ。常に不安と緊張を感じるような旅は願い下げだが、ちょっと勇気を振り絞って、新天地を探すくらいしないと、自分が見たいもの、求めていたものさえ、見つけられないまま終わってしまう。