カラーシャの谷で、滞在中には毎日のように入り浸っている村から宿へと帰る途中、さっきまで一緒にいた子供らが走って追いかけてきた。何事かと思い、立ち止まって聞いてみると、そのなかのひとりの子の家に来てくれと言う。
その日は、誰の家にも入っていないので、忘れ物とかではないはずだ。もう日が暮れてきていたので断るも、引き下がらない。その村から宿までは15分ほどなので、まだ慌てる必要はないが、日が落ちるまでには帰りたい。アップダウンを避けるため通る道が、山中の道だからだ。それにまだほんの数分しか降りてきていないが、戻る道は登り坂。おまけに、この日貰った重めのお土産を持ち抱えていたので、できることなら遠慮したい。
だがしかし、断っても断っても、「お願いだから来て！」としか言わない。まあ、そのくらいの英語しか使えないので、仕方がない。家に来てくれと言っている理由もわからない。しばし押し問答をしていたが、このままではラチがあかないと、しぶしぶ戻ることにした。押し問答の時間で、あたりが暗くなりはじめていたので、急ぎ足で戻る。
息を切らして、家の前に到着。家の前というか村の通路なのだが、そこで1分ほど待たされる。この村はムスリムの村なのだが、大人の女性は私の前には現れないほど、保守的な家庭が多い。このお家もそうだ。
やがて、そこの家の子がチャイとドライフルーツを持ってきた。用はこれだけか・・・。ありがたいよ、ありがたいんだけどさ。
この村に通い詰めてるおかげで、近頃は村の人からチャイをちょくちょく頂けるようになった。さっき村から帰ろうとする少し前にも、よそのお家の人から頂いたばかりだ。子供たち、知ってるよね？ほら、さらにその30分くらい前にも別の家からも貰ってたじゃん。350mlくらい入りそうな大きめのマグカップに、たっぷり入った甘めのチャイ。1時間に3杯。1リットル。お腹ちゃぽんちゃぽんやわ。