パキスタンの国名の日本語での正式名称は、パキスタン・イスラム共和国。国名からもわかるように、イスラム教の国である。
イスラム教というと、お酒を飲むことがタブーなのは有名である。パキスタンでも、お酒の持ち込みやイスラム教徒がお酒を飲むことは、法律で禁じられている。しかし、イスラム教徒でない人の飲酒は認められており、お酒が存在しないわけではない。
ただ、パキスタンでお酒を手に入れるのは、極めてむずかしい。外国人旅行者がお酒を飲むには、大都市にある五つ星ホテルのルームサービスで頼むのが一般的だ。それ以外となると、政府の許可証を取得すれば、全国に数カ所ある酒類販売所で購入できる。あとは、密売も存在するらしく、パキスタン人にはこちらのほうが一般的らしいが、外国人旅行者には困難すぎる。
そんななか、比較的簡単にお酒が手に入れることができる場所がある。そのひとつがカラーシャの谷である。
独自の信仰を持ち、イスラム教徒ではないカラーシャ族は、ワインや蒸留酒を造っている。とはいえ、居酒屋があったり、商店でおおっぴらに売っているわけではなく、レストランにも置いてはいない。宿の人などに頼んで手に入れる。こっそりお酒を飲ませる商売をしている人もわずかにいる。手に入れること自体は簡単である。だが、作り手によって味が大きく異ってくるので、美味しいお酒を手に入れるには、美味しいお酒の作り手を知っている必要がある。
イスラム教徒がお酒を飲むことは禁止とされているが、実はこっそり飲んでいる人はそこそこいる。カラーシャの谷の近郊に住んでいる人は、定期的にカラーシャの谷まで、お酒を買いに来ている。カラーシャの谷を訪れるパキスタン人の旅行者や、旅行ガイドなんかもお酒を飲んでいる。カラーシャの谷に着いたら、まずお酒って人も珍しくない。
たちが悪いのが、パキスタン人の旅行者だ。飲み慣れていないせいか、飲み方が汚い。めちゃくちゃな飲み方をして、酔いつぶれたり、ウザ絡みしてきたりで、だるい。カラーシャの宿では、夜な夜な毎度おなじみ的にウザ絡みパキスタン人が現れる。