インドの西の果て、カッチ。インドの最西端にあるグジャラート州、そのグジャラートのなかでも、もっとも西に位置するのがカッチである。
カッチには、ラバリ族、アヒール族、ジャット族、メグワル族、ムトワ族など、多様な民族が住んでおり、伝統的な刺繍や染織で作られた色鮮やかな民族衣装を身につけている。
衣装は民族によって異なるが、ド派手なのが多くて、心に刺さらないなか、ラバリとジャットの衣装は派手すぎず、落ち着いていて、逆に目に留まった。特にジャットは、上品で洗練された雰囲気がありつつも、華やかなキュートさも兼ね備えており、ドストライクだった。赤や黒のワンピースをベースに、胸元にミラーワークと呼ばれる小さな鏡を縫い込む、カッチ刺繍がほどこされ、首や手には銀細工の装飾品、頭にはスカーフというのが、ジャットの衣装。
ジャットに会いたい。しかし、弱ったことにジャットの住んでいるところの情報が、ネットで検索しても出てこない。ほかの民族は具体的な村が出てくるのだが、ジャットはカッチに西のほうに多く住んでいるとか、あいまいな情報ばかり。カッチというか、グジャラート自体、訪れる人が少ないマイナーなところである。グジャラートの北のラージャスターンは、多くの旅行者が訪れる有名な観光地で、情報も手に入れやすいが、グジャラートとなると、決まった観光地以外の情報は、ほとんどないといってもいい。
カッチの西に住んでるといわれても、カッチは日本の九州よりも一回り大きい。おまけにカッチの西側は、観光客がまったくいなく、きわめて情報のない不毛の地。そんななかから見つけれるのか、見つかったとしても、かなり保守的らしいので、受け入れてもらえないかもしれない。
はじまりから不安しかない。酔狂にもほどがある。別に辺境の地へ行きたいわけでも、他人と違うことがしたいなんて考えもない。ただジャットに会いたいだけなのだ。