誰がこんなに高い場所に、こんなに巨大な湖があると思うだろうか?中国のチベットとの国境にまたがる、世界でもっとも高い場所にある塩湖、パンゴンツォ。標高は富士山よりも高い4,250mである。全長はなんと150kmもあり、西側の3分の1はインド。東側の3分の2はチベットとなっている。パンゴンツォは淡水と海水が入り混じった汽水湖で、インド側は塩湖、チベット側は淡水湖と珍しい。チベット側は水が飲めるらしく、色も青緑らしい。いつかチベット側のも見てみたいもんだ。
天空の湖パンゴンツォは実に美しい。荒涼とした岩山に囲まれた中に、澄んだ湖水が空を映して青く輝く。見たことのない青い世界。太陽の光や水位によって、深い青、淡い青、ターコイズブルー、何種類のも青色に変わる。思わず時間を忘れて見入ってしまう。
神々しいほどに美しいパンゴンツォの青だが、これが天気が悪いとちっとも青く見えない。初日はまずまずだったが、2日目の朝はいまいちの天気だった。青さを失った湖は、同じ湖なのかって思うほど魅力がない。パンゴンツォは晴れてなんぼである。
パンゴンツォへ訪れたならば、湖畔の村へ泊まっていくのがいい。今回はパンゴンツォで外国人が泊まれる最奥の村のメラクまで行ってみた。2010年に外国人が入域できるようになった村で、外界からの影響を受けていない素朴な人たちが暮らしているという。
メラク村は思いのほか遠かった。一番手前にある村のスパンミクから20kmなので、ほど近い思っていたが道はあってないような悪路で1時間半も掛かった。おかげで着いたころは、日暮れ前になっており短い滞在となってしまった。
パンゴンツォの入口のビューポイントには数多くの観光客がいたが、ここまで来ると誰もいない。人の顔立ちもほかのラダックの土地とはまた異なり、チベットっぽさが感じられる。なんだか最果てに来たって感じがする。