ラダックの北西部に「花の民」と呼ばれる人々が住んでいる。ドクパというアーリア系の少数民族で、頭に花を飾る風習があるという。頭に鮮やかな花やホオズキを飾るみたいだが、今では祭りや祝いごとくらいで、普段はほとんどしていないらしい。彫りの深いアーリア系の顔立ちに、民族衣装。頭には花。ぜひとも見てみたいもんだが、あいにく祭りの日程に休みが合わず、訪れるのはむずかしい。
このあたりは仏教とイスラム教の文化が入り混じりながら共存し、独特な文化をもつアーリアン・バレーと呼ばれる地域で、いくつかの小さい村が点在している。有名なのは、ダー村。しかし、ダーの花の民は観光客が多くなりすぎて、ずいぶんツーリスティックだとか、不愛想だとかって、前情報があったので、あまり期待していなかった。実際、ダーには花を飾っている人がちらほらいたが、写真をお願いすると決まってお金の要求。お金を払って写真を撮るのは何か違うと思うので、予想どおり花の民っぽい写真はなしだ。
ダー以外にもいくつかの村を訪れたのだが、思いのほか良かったのはガルクン。 ガルクンはダーと同じくドクパが多く住む、2010年から入域が許可された村だ。
ラダックの村は山間に隠れるようにひっそりとあることが多い。ガルクンはそんななかでも一段とひっそりというか、もはや山の中といったような村で、村の散策は、まるでトレッキングをしているかのよう。
山歩きのように村を散策していると、ぽつぽつと家が現れる。とても山の中にあると思えないようなしっかりとした家である。なんだかおとぎ話の中に入り込んだような気持ちになる。
同じように、山の中に不意に現れた大きめの建物。どうやら小学校のようだ。お邪魔すると教室には5人だけと少ない。だけども、その5人がみんな可愛いらしい。男の子も、女の子も。美形でいて、愛嬌がある。全員が可愛いとか、珍しいこともあるもんだ。
さらにぐんぐん村を進んで行くと、村の端っこにも学校が。こちらはずいぶんと大きく、生徒も多い。時間がなく教室にお邪魔したのは、ひとつだけだったが、驚くことにこちらも美形ぞろい。おそるべしガルクン。肌が白く、目鼻立ちがしっかりとしている。ガルクンの人々はアーリア系といえども、ほかの村とはまた違うようにさえ思う。ここは本当におとぎの国なんじゃなかろうか。