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India2016

#42

憂鬱カレー

Jan 24, 2017

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朝、目覚めると、遠くからかすかに音が聞こえる。ペッタンペッタン。チャパティをつくる音だ。「はあ、今日もカレーか」そんなため息まじりのつぶやきで、一日が始まる。なんとまあ、くだらない理由の憂鬱で嫌な一日の始まり方だろうか。
旅先の食事というのは、旅の楽しみのひとつではあるが、ラダックはそうでもない。チベット文化が根付くラダックは、チベット料理も多くあるが、基本はカレーやダールといったインド料理。ラダック料理というのもあるのだが、レストランにはめったにないので、ほとんど出会うことがない。
チベット料理は好きだが、カレーは好きじゃない。そういう根本的な好みの問題もあるが、ラダックでの食事は代わりばえがしなく、単調なのがつらい。ラダックの中心地のレーなら食事は幅広いが、地方では選択肢はなく、いつも同じようなものだ。
まあ、行ってみればわかるが、辺境のような土地では食べられるだけでもありがたいと思うような場所ではある。それはわかってはいるのだが、ずっと同じはつらい。朝はチャパティにバターとジャム。あとはオムレツという名の薄焼き卵か、目玉焼き。昼と晩は野菜のカレーに、ダールという豆のカレーと生野菜。運が良ければ、野菜の炒め物やスープなんかが出てくる。
地方を中心に旅行していると、野菜の種類も限られていて、ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモ、トマト、キュウリ、キャベツ、豆、カリフラワー、そんなところだ。なんだいっぱいあるじゃないと思うかもしれないが、これらを用いてつくるのは、もちろんカレー。野菜を炒めてもカレー味。スープがあってもカレー味。
カレー、カレー、カレー、と続けられると、当然しばらくカレーの顔は見たくなくなる。体の中からカレーがなくなるまで、とことんほかの物を食べ続け、カレーのことなどさっぱり忘れたころになら、また仲良くやれるだろうけど、今はもういい、出て行ってくれ。
地方では肉もそうそうない。もちろん、魚もない。スーパーマーケットなんかないし、肉屋もない。肉を食べるには、しめるしかない。貴重なのである。そんななか、まれに出会う肉やチベット料理は、心と体に染みる。日本では当たり前のような食事でも本当に感動する。人生で一度はこういうところに行って、食事のありがたみみたいなものを体験した方がいいと思う。彼らはあの感覚を味わうために、普段ずっとカレーばかりを食べ続けているのかもしれない。

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